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        YUMA“ISM” ♯2


   演奏家としての姿勢と使命、「芸術」が生まれるまで。
          〜Simple,Smart,Sensitiveに〜


皆さん、想像してみてください。 自分の大切な人に気持ちを伝えたい時、どうしますか?
会って言葉で想いを伝える、電話で気持ちを伝える、相手が喜びそうなプレゼントをする、手紙に想いを綴る等々、多様な方法があると思います。

作曲家はというと、自分の溢れんばかりの想いを大切な人に伝えるべく作品(楽譜)に託してきました。それはその大切な人への愛を認(したた)めた手紙のようなものです。偉大な作曲家たちには存命当時それぞれ「大切な人=恋人や家族」が居たわけですが、結局のところ作曲家にとっては作品を永遠に後世まで伝えていくために、「大切な人=聴衆」であると考えていたことでしょう。

我々演奏家の使命はその作曲家が心を込めて綴った手紙をはるばる時空を超越して「大切な人=聴衆」に届けることです。

そこまでの過程として、演奏家はまず一人でその手紙を読み「感動」し、惹き込まれていきます。そこで演奏家は作曲家の細かな意図を読み取るために非常にSensitiveセンシティヴ鋭敏な感覚をもった)でいなければなりません。何十回も何万回も繰り返し読んで、作曲家の意思を熟考を重ねて追究していきます。

その過程で気をつけなければならないのは、作曲家が精魂込めて作り上げた作品を演奏家がむやみに変えてはいけないことです。

皆さんが大切な人へ出した手紙を第3者に勝手に改竄(かいざん)されたら困るように、演奏家は作曲家のメッセージを元の形のまま、つまり極めてSimple(シンプル簡潔な無駄の無い)に伝えなければなりません。そこに演奏家の過度なエゴや主張は必要ないのです。

『どうすれば聴衆に「感動」してもらえるのか?』

この永遠の課題を背負いながら演奏家は孤独な作業に膨大な時間を費やし血のにじみ出るような努力をしていくのです。

そして満を持して臨む演奏会。
その舞台で演奏家は作曲家から預かった大切な手紙をSmart(スマート洗練された)に読み上げていきます。一人で熟読し「感動」した手紙を、今度は聴衆と共に「感動」しながら朗読していくのです。演奏家はそこで初めて聴衆と「感動」を共有できる喜びを噛み締めることができます。両者が「感動」を共有できたまさにその瞬間が、作曲家にとっても切なる願いが叶った至福の一時なのではないでしょうか。

そしてその瞬間に作品(楽譜)がそれぞれ個性ある演奏家というフィルターを通して唯一無二の「芸術 」へと生まれ変わるのです。

このように演奏家は各々その時代の聴衆に作曲家の魂を伝え続けていくという大事な使命があります。
僕は演奏家として誇りを持つと同時に、作曲家・聴衆への敬意を決して忘れることはありません。そして音楽のみならず普段の生活から今後の人生までSensitiveSimpleSmartに全う(まっとう)するつもりです。



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